おりものの臭いの原因とは?酸っぱい、生臭いなど臭い別の原因と対処法

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

おりものから普段と違う臭いがすると、「何かの病気ではないか」と不安になる方もいるでしょう。しかし、少し酸っぱい程度であれば、腟内環境や生理周期による正常な変化の可能性があります。一方、魚のような臭いや強い悪臭が続き、色・量・痛みなども変化している場合は注意が必要です。本記事では、おりものの臭いの原因や受診の目安、日常生活で取り入れられるセルフケアを解説します。

目次
  1. 正常なおりものの臭いと特徴
  2. おりものの臭い別に考えられる原因
  3. おりものの臭いを伴う主な病気
  4. 病気以外でおりものの臭いが強くなる原因
  5. 臭いと一緒に確認したいおりものの変化
  6. おりものの臭いで受診を判断する目安
  7. おりものの臭いで婦人科を受診したときの流れ
  8. おりものの臭いを防ぐセルフケア
  9. おりものの臭いに関するよくある質問
  10. おりものの臭いと他の変化を確認して適切に対処しよう

正常なおりものの臭いと特徴

おりものには腟内を清潔に保ち、乾燥や外部からの刺激を防ぐ役割があります。最初に、健康な状態でも見られる臭いや、生理周期・年齢による変化について確認しましょう。

無臭から少し酸っぱい臭いは正常範囲

正常なおりものは透明または乳白色で、強い不快臭がないことが一般的です。腟内では乳酸菌が働き、弱酸性の環境が保たれているため、わずかに酸っぱい臭いを感じることもあります。普段と同じ程度の臭いで、かゆみ・痛み・色の変化がなければ、過度に心配する必要はありません。ただし、急に臭いが強くなったときは、ほかの変化も確認しましょう。

生理周期によって量や臭いが変化する

おりものの量や粘り気は、女性ホルモンの影響を受けて変わります。排卵期には透明で水っぽく、よく伸びるおりものが増える傾向があります。生理前は粘り気が強くなり、汗や皮脂が混ざることで普段より臭いを感じることもあるでしょう。周期に伴って一時的に変化し、生理後に元へ戻る場合は、生理的な変化と考えられます。

妊娠・産後・更年期にも変化する

妊娠中はホルモンの影響で、おりものの量が増えることがあります。正常なおりものは透明または乳白色で、強い悪臭はありません。産後は悪露が混ざるため、色や臭いが普段と異なる時期があります。更年期以降は女性ホルモンの低下によって腟が乾燥し、刺激や炎症によるおりものの変化が生じることもあります。年代や状況に応じた確認が必要です。

臭いだけでは病気を判断できない

おりものの臭いは、汗や尿、生理用品の使用状況によっても変わるため、臭いだけで原因を特定することはできません。医療機関では、色・量・粘り気に加え、かゆみ、排尿時の痛み、性交痛、下腹部痛などを総合して判断します。自己判断で特定の病名を決めつけず、「いつから」「どのように変わったか」を記録しておくと、受診時の説明に役立ちます。

おりものの臭い別に考えられる原因

臭いの感じ方には個人差がありますが、普段との違いを知ることは受診の判断材料になります。ここでは、臭いの種類ごとに考えられる主な原因を紹介します。

酸っぱい・ヨーグルトのような臭い

弱い酸味を感じる程度であれば、乳酸菌によって腟内が弱酸性に保たれていることが関係しており、正常範囲の可能性があります。ただし、以前より酸っぱい臭いが強くなり、白く固まったおりものや激しいかゆみが加わった場合は、腟カンジダなども考慮が必要です。臭いの種類だけでなく、色や性状、外陰部の違和感を組み合わせて判断しましょう。

生臭い・魚のような臭い

魚のような強い臭いと、灰白色でさらさらしたおりものが見られる場合は、細菌性腟症が考えられます。性交後や生理中に臭いが目立つこともあります。また、トリコモナス腟炎でも魚のような臭いを伴う可能性があるため、臭いだけで両者を区別することはできません。数日続く場合や色の変化を伴う場合は、婦人科で原因を確認しましょう。

チーズのような臭いと白い塊がある場合

白くポロポロしたカッテージチーズ状のおりものに、強いかゆみや外陰部の赤みを伴う場合は、腟カンジダが疑われます。ただし、腟カンジダでは強い悪臭が目立たないことも多く、臭いよりもおりものの形状やかゆみが判断材料になります。似た変化はほかの腟炎でも現れるため、初めて生じた場合や繰り返す場合は検査を受けることが望まれます

アンモニア・尿のような臭い

アンモニアや尿に似た臭いは、おりものに少量の尿が混ざっているときや、下着に付着した尿が時間とともに変化したときに感じることがあります。汗や水分不足によって尿が濃くなると、臭いが強調される場合もあるでしょう。排尿時の痛み、頻尿、残尿感などを伴うときは、膀胱炎や尿道の炎症も考えられるため、泌尿器科や婦人科へ相談してください。

血・鉄のような臭い

生理前後や排卵期の少量出血がおりものに混ざると、血液に含まれる鉄分によって金属のような臭いを感じることがあります。生理に関連した一時的な変化であれば、経過を見られることもあります。一方、生理と無関係な出血、性交後の出血、閉経後の出血が続く場合は、子宮頸部や子宮内膜の異常を除外する必要があるため、早めに婦人科を受診しましょう。

腐ったような強い悪臭

腐敗臭のような強い悪臭は、細菌性腟症やトリコモナス腟炎、子宮頸管の炎症などで生じることがあります。タンポンやコンドームの一部が腟内に残っているケースでも、茶色や緑色のおりものと悪臭が現れることがあるため注意が必要です。洗浄しても臭いが改善しない場合や、発熱・下腹部痛を伴う場合は、放置せず医療機関へ相談してください

おりものの臭いを伴う主な病気

おりものの臭いが変化する疾患には、腟内細菌のバランスが崩れるものや、性的接触によって生じるものなどがあります。代表的な疾患の特徴を解説します。

細菌性腟症

細菌性腟症は、腟内に存在する細菌のバランスが崩れ、特定の細菌が増えることで起こります。灰白色で薄いおりものや、魚のような強い臭いが代表的です。かゆみや痛みがほとんどない方もいるため、臭いだけが気になるケースもあります。性感染症とは限りませんが、症状が続く場合や妊娠中に変化がある場合は、婦人科で診断と治療を受けましょう。

トリコモナス腟炎

トリコモナス腟炎は、トリコモナス原虫が主に性的接触によって広がる性感染症です。黄色から黄緑色で泡立ったおりもの、魚のような臭い、外陰部のかゆみや痛みが現れることがあります。排尿時や性交時に痛みを感じる方もいますが、症状が出ないケースもあります。再びうつし合うのを防ぐため、本人だけでなくパートナーも検査や治療を検討します

腟カンジダ

腟カンジダは、もともと皮膚や消化管などに存在するカンジダ菌が増えることで起こります。白くポロポロしたおりものや、強いかゆみ、外陰部の赤み・腫れが特徴です。抗菌薬の使用、体調不良、妊娠などをきっかけに発症することがあります。性感染症とは限りません。ほかの腟炎と似ているため、初めての症状を市販薬だけで対処するのは避けましょう

クラミジア・淋菌感染症

クラミジア淋菌による性感染症では、おりものの増加や悪臭、排尿時の痛み、不正出血などが見られることがあります。ただし、女性は自覚できる変化が乏しいこともあり、見た目や臭いだけでは否定できません治療せずにいると、子宮や卵管へ炎症が広がる可能性があります。新しいパートナーとの性交後に変化が出た場合や、相手の陽性が判明した場合は検査を受けましょう。

子宮頸管炎・骨盤内炎症性疾患

子宮頸管炎は、クラミジアや淋菌などが子宮の入り口に炎症を起こした状態です。炎症が子宮や卵管、骨盤内へ広がると、骨盤内炎症性疾患に進むことがあります。おりものの増加、不正出血、性交痛、下腹部痛などが主な変化です。発熱や強い痛みがある場合は、速やかな診察が必要です放置すると将来の妊娠に影響する可能性もあるため、早期の対応が求められます

萎縮性腟炎

萎縮性腟炎は、閉経前後の女性ホルモン低下によって腟粘膜が薄くなり、乾燥や炎症が生じる状態です。黄色っぽいおりもの、少量の出血、ヒリヒリ感、性交時の痛みなどが現れることがあります。刺激に弱くなった粘膜に細菌が増えると、臭いを伴うこともあります。保湿剤やホルモン治療などが検討されるため、閉経後の変化を年齢のせいと決めつけず婦人科へ相談しましょう

まれに子宮頸がん・子宮体がんなど

水っぽく悪臭のあるおりものや血の混じったおりものは、まれに子宮頸がんなどで現れることがあります。性交後の出血や生理以外の出血、骨盤周辺の痛みを伴う場合もあります。また、閉経後の出血は子宮体がんなどを確認する必要がある変化ですこれらの症状があるからといって、直ちにがんとは限りません自己判断で様子を見続けず、検査で原因を確かめましょう

病気以外でおりものの臭いが強くなる原因

おりものの臭いは、病気だけでなくホルモン変化や下着の蒸れ、デリケートゾーンの洗い方でも変わります。日常生活で考えられる原因を紹介します。

生理前後や排卵期のホルモン変化

排卵期は女性ホルモンの働きによって、透明で水っぽいおりものが増えます。生理前は粘り気が強くなり、生理後は残った経血が混ざることで茶色や鉄に似た臭いを感じることもあるでしょう。周期に合わせて変化し、数日で普段の状態へ戻る場合は、ホルモンによる生理的な変化が考えられます。周期と関係なく臭いや出血が続く場合は、別の原因を確認する必要があります

汗や蒸れによる雑菌の増殖

デリケートゾーンは汗腺が多く、下着や衣類で覆われているため蒸れやすい部位です。汗・皮脂・おりものが下着に残ると、皮膚表面の細菌によって臭いが強くなることがあります。特に暑い時期や運動後、長時間座り続けた後は変化を感じやすいでしょう。通気性のよい下着を選び、濡れた衣類を早めに着替えることで、蒸れや外陰部の刺激を軽減できます。

尿や経血がおりものに混ざる

排尿後に残った尿や、生理前後の経血がおりものに混ざると、アンモニア臭や金属に似た臭いが生じます。尿漏れがある方は、下着やおりものシートに尿が付着し、時間の経過とともに臭いが目立つこともあります。入浴や着替えによって改善し、痛みやかゆみがなければ経過を見られるでしょう。ただし、不正出血や排尿時の違和感が続くときは医療機関へ相談してください

おりものシートやナプキンの長時間使用

おりものシートやナプキンを長時間交換しないと、汗やおりものがこもり、臭いやかぶれの原因になります。香り付き製品は臭いを隠せても、香料が外陰部への刺激になる可能性があります。使用する場合は、汚れていなくても数時間を目安に交換し、肌に合わないときは使用を中止しましょう。自宅では綿素材の下着だけで過ごすなど、蒸れにくい時間をつくることも一つの方法です。

デリケートゾーンの洗いすぎ

臭いが気になるからといって、外陰部を強くこすったり、腟の中まで洗ったりするのは避けましょう腟内洗浄は本来の細菌バランスを乱し、乾燥や刺激を招く可能性があります。香料を含む石けん、消臭スプレー、ウェットシートなども刺激になることがあります。外陰部はぬるま湯でやさしく洗い、石けんを使う場合は低刺激で無香料の製品を少量使用してください。

体調不良や抗菌薬による腟内環境の変化

睡眠不足や強い疲労が重なると、体調の変化に伴って外陰部の不快感が目立つことがあります。また、抗菌薬を使用すると腟内の細菌バランスが変化し、カンジダ菌が増えることがあります。白く固まったおりものや強いかゆみが現れた場合は、腟カンジダの可能性も考慮が必要です。処方された抗菌薬を自己判断で中止せず、症状について処方元や婦人科へ相談しましょう。

タンポンやコンドームの取り忘れ

タンポンやコンドームの一部が腟内に残ると、強い悪臭、茶色や緑色のおりもの、出血などが生じることがあります。自分で無理に取り出そうとすると粘膜を傷つける可能性があるため、見つからない場合や奥に入り込んだ場合は婦人科を受診してください。発熱、嘔吐、めまい、発疹などを伴う場合は、まれな重篤症状も否定できないため、速やかな診察が必要です

臭いと一緒に確認したいおりものの変化

原因を判断する際は、臭いだけでなく色・粘り気・量や、痛みなどの自覚症状を確認することが重要です。代表的な変化と考えられる原因を解説します。

灰白色でさらさらしている

灰色または白色で、水のように薄いおりものが増え、魚のような臭いがするときは、細菌性腟症が考えられます。細菌性腟症では、強いかゆみや腫れが現れないこともあるため、「臭い以外は問題ない」と感じる方もいます。数日経っても改善しない場合や、性交後に臭いが強くなる状態を繰り返す場合は、婦人科でおりものの状態や腟内の細菌を確認してもらいましょう。

黄色・黄緑色で泡立っている

黄色や黄緑色で泡立ったおりものは、トリコモナス腟炎で見られることがあります。魚に似た臭いのほか、外陰部の赤みや腫れ、かゆみ、排尿時・性交時の痛みを伴うこともあります。一方、黄色いおりものだけでは原因を特定できず、クラミジアや淋菌、ほかの細菌による炎症も候補です。新しいパートナーとの性交後に変化した場合は、性感染症検査も検討してください

白くポロポロしている

白くポロポロしたおりものが増え、外陰部の強いかゆみやヒリヒリ感を伴う場合は、腟カンジダが疑われます。カッテージチーズや酒かすに似た状態と表現されることもありますが、見た目だけで確定はできません。カンジダ治療薬は市販されていますが、細菌性腟症や性感染症には適していません。初めての症状や妊娠中、短期間に再発したケースでは診察を受けましょう。

茶色や血が混じっている

生理の始まりや終わりに茶色いおりものが出る場合は、時間が経った経血が混ざっている可能性があります。排卵期にも少量の出血が見られることがあります。一方、生理以外の時期に繰り返す、性交後に出血する、悪臭や痛みを伴う場合は、子宮頸管の炎症や子宮頸部の病変などを確認する必要があります。特に閉経後の出血は、少量でも早めに婦人科へ相談してください

水っぽく量が増えている

透明で水っぽいおりものは排卵期や妊娠中にも増えるため、必ずしも異常ではありません。ただし、普段より明らかに量が多い状態が続く、悪臭や血液が混ざる、下腹部痛がある場合は、腟炎や子宮頸管炎などが考えられます。妊娠中に水のような液体が持続的に流れる場合は、破水との区別が必要になることもあります。自己判断せず、産婦人科へ連絡しましょう。

かゆみやヒリヒリ感がある

おりものの変化とともに、外陰部のかゆみやヒリヒリ感がある場合は、腟カンジダやトリコモナス腟炎、石けんなどによる刺激が考えられます。かき続けると皮膚が傷つき、赤みや痛みが悪化することがあります。冷やすと一時的に楽になることはありますが、原因そのものを解消する方法ではありません。香料入り製品の使用を控え、症状が強い場合は婦人科で確認してください。

排尿痛・性交痛・下腹部痛を伴う

排尿時の痛みや性交痛、下腹部痛を伴う場合は、トリコモナス腟炎、クラミジア、淋菌感染症、子宮頸管炎などが考えられます。炎症が骨盤内へ広がると、発熱や強い下腹部痛を生じることもあります痛みがある状態で性交を続けると刺激が加わるため、原因がわかるまでは控えましょう発熱、吐き気、歩くと響くほどの痛みがある場合は、速やかな受診が必要です

おりものの臭いで受診を判断する目安

正常範囲の変化であれば経過を見られることもありますが、組み合わせる症状によっては早めの診察が必要です。婦人科へ相談するタイミングを解説します。

少し酸っぱいだけで他の変化がなければ経過を見る

普段から感じる程度の弱い酸っぱい臭いで、おりものが透明または乳白色、かゆみ・痛み・出血がない場合は、正常な腟内環境による可能性があります。まずは数日間、臭いの強さや生理周期との関係を確認しましょう。過度な洗浄はかえって刺激になるため、外陰部をぬるま湯でやさしく洗う程度にします。臭いが次第に強くなる場合や、色・量が変わった場合は受診を検討してください

悪臭や色・量の変化が続くなら婦人科を受診する

魚や腐敗物のような悪臭が数日続き、灰色・黄色・緑色など普段と違う色になる場合は、腟炎などの可能性があります。生理周期による変化は一時的なことが多いため、生理が終わっても改善しない状態は受診の目安です。臭いや色だけでは原因を区別できず、使用する薬も異なります。洗浄や消臭剤で一時的に隠すのではなく、婦人科のおりもの検査で確認しましょう

かゆみ・排尿痛・性交痛があれば早めに受診する

強いかゆみや排尿時の痛み、性交時の痛みは、腟や子宮頸部、尿道に炎症が起きているサインの可能性があります。腟カンジダ、トリコモナス腟炎、クラミジアなど、原因によって治療方法は異なります。症状が軽くても、新しいパートナーとの性交後に現れた場合は性感染症も考慮が必要です。悪化する前に婦人科や性感染症を扱う医療機関へ相談してください

発熱・強い下腹部痛・不正出血があれば速やかに受診する

おりものの悪臭に加えて発熱、強い下腹部痛、不正出血がある場合は、炎症が子宮や卵管、骨盤内へ広がっている可能性があります。痛みが急激に強くなった、吐き気やふらつきがある、大量に出血している場合は、夜間や休日でも救急相談を検討してください市販の鎮痛薬で痛みを抑えて長期間様子を見ると、原因の確認が遅れるため、早めの診察が必要です。

妊娠中・閉経後の変化は早めに相談する

妊娠中はおりものが増えやすいものの、悪臭、黄色や緑色への変化、かゆみ、排尿痛がある場合は、かかりつけの産婦人科へ相談しましょう。出血や水のような液体が流れる場合は、早めの連絡が必要です。また、閉経後の出血や血の混じったおりものは、子宮や腟の病変を確認する対象になります。少量だからと放置せず、婦人科で原因を調べてもらってください。

性感染症の可能性があれば検査を受ける

新しいパートナーや複数のパートナーとの性交後におりものが変化した場合、相手が性感染症と診断された場合は、自覚症状が軽くても検査を検討します。クラミジアなどは症状が乏しいことがあるため、臭いやかゆみがないことだけでは否定できません。結果がわかるまでは性行為を控えるか、コンドームを使用しましょう。陽性の場合は、パートナーも検査や治療を受けることが再発予防につながります

タンポンなどを取り出せない場合は受診する

タンポンやコンドームが腟内に残っている可能性があり、自分で簡単に取り出せない場合は婦人科を受診してください。ピンセットなどの器具を入れると、粘膜を傷つけたり、さらに奥へ押し込んだりする恐れがあります。強い悪臭、発熱、下腹部痛、嘔吐、発疹、急な体調不良がある場合は、速やかな対応が必要です。いつ挿入したか分からない場合も、その旨を医師へ伝えましょう。

おりものの臭いで婦人科を受診したときの流れ

婦人科では臭いだけでなく、おりものの性状や痛み、性交歴などを確認し、必要な検査を行います。一般的な診察から治療までの流れを紹介します。

臭いや症状について問診を受ける

問診では、おりものの臭いが変化した時期、色・量・粘り気、かゆみや痛みの有無などを確認します。最終月経、妊娠の可能性、使用中の薬、抗菌薬の服用歴について尋ねられることもあります。性感染症が疑われる場合は、最近の性交やパートナーについて確認されますが、診断に必要な情報です。答えにくい内容があれば、医師や看護師へ伝えられる範囲から説明しましょう。

内診やおりもの検査を受ける

必要に応じて、外陰部の赤みや腫れを確認し、腟鏡と呼ばれる器具を使って腟内や子宮頸部を観察します。綿棒などでおりものを採取し、顕微鏡検査や培養検査、腟内のpH測定などを行うこともあります。内診に不安や痛みがある場合は、始める前に医師へ伝えてください。強い苦痛を感じたときは途中で止めてもらうことも可能です。

必要に応じて性感染症検査を受ける

性交歴や症状から性感染症が考えられる場合は、クラミジア、淋菌、トリコモナスなどの検査を行います。腟や子宮頸部から採取した分泌物、尿などを用いて調べる方法があります。感染の機会から検査までの期間が短いと正確に判断できないこともあるため、性交した時期を医師へ伝えましょう。必要な検査項目は症状や状況によって異なるため、自己判断で絞り込まないことが重要です

原因に応じた薬で治療する

細菌性腟症や一部の性感染症では抗菌薬、腟カンジダでは抗真菌薬など、原因に応じた薬が使用されます。更年期に伴う腟の乾燥や炎症には、保湿剤やホルモン製剤などが検討されることもあります。症状が治まっても原因が残っている可能性があるため、処方された薬は医師の指示どおり使用してください改善しない場合や短期間に再発する場合は、再度診察を受けましょう

性感染症ではパートナーの検査も検討する

クラミジア、淋菌、トリコモナスなどが確認された場合は、現在のパートナーも検査や治療を受けることが推奨されます本人だけが治療しても、パートナーに原因となる病原体が残っていると、再びうつし合う可能性があるためです。双方の治療が完了し、医師から説明を受けるまでは性交を控えます。伝え方に迷うときは、医療機関で相談しながら対応を考えましょう。

市販薬を自己判断で使用しない

腟カンジダの再発に使用できる市販薬もありますが、初めての症状やほかの疾患との区別がつかない状態で使用するのは避けましょう。細菌性腟症やトリコモナス腟炎にカンジダ用の薬を使っても、原因に合った治療にはなりません妊娠中、短期間に繰り返す場合、薬を使っても改善しない場合は診察が必要です。薬剤師へ相談する際も、症状や過去の診断歴を正確に伝えてください。

おりものの臭いを防ぐセルフケア

正常なおりもの自体をなくすことはできませんが、蒸れや外陰部への刺激を減らすことで、不快な臭いやかぶれを防ぎやすくなります。日常生活で実践できる方法を紹介します。

外陰部をぬるま湯でやさしく洗う

デリケートゾーンを清潔に保つ際は、腟の外側にあたる外陰部をぬるま湯でやさしく洗います。指の腹を使い、皮膚を強くこすらないようにしましょう。石けんを使う場合は無香料で低刺激のものを少量使用し、十分に洗い流します。洗った後は清潔なタオルで押さえるように水分を拭き取ってください。臭いを落とそうとして1日に何度も洗うと、乾燥や刺激の原因になります

腟内洗浄や洗いすぎを避ける

腟には分泌物とともに不要なものを外へ排出し、環境を保つ仕組みがあります。そのため、シャワーや洗浄剤を腟内へ入れて洗う必要はありません。腟内洗浄を繰り返すと、本来存在する細菌のバランスが崩れ、乾燥や刺激を招く可能性があります。香り付きのソープやスプレーで臭いを隠す方法も避けましょう。悪臭が続く場合は、洗浄を強めるのではなく原因を確認してください。

おりものシートをこまめに交換する

おりものシートは下着の汚れを防ぐのに便利ですが、長時間使用すると湿気がこもりやすくなります。汗やおりものが付着したままでは、臭いやかぶれが目立つこともあります。使用する場合は数時間ごとを目安に交換し、汗をかいたときは早めに新しいものへ替えましょう。香料付き製品で刺激を感じる方は、無香料タイプを選びます。症状がない日は使用を休み、通気性を確保する方法もあります。

通気性のよい下着を選ぶ

下着は、綿など吸湿性と通気性に配慮した素材を選びましょう。体に密着する下着や補整下着、締め付けの強い衣類を長時間着用すると、汗や熱がこもりやすくなります。就寝中は締め付けの少ない下着に替えるなど、蒸れにくい状態をつくることがポイントです。ただし、下着を替えるだけで腟炎や性感染症が治るわけではありません。臭いやかゆみが続くときは診察を受けてください。

汗をかいた衣類を早めに着替える

運動後や暑い日に汗で濡れた衣類を着続けると、デリケートゾーンが蒸れ、臭いや皮膚への刺激につながります。汗を多くかいた後は、可能な範囲で下着や衣類を着替えましょう水着やスポーツウェアも、使用後は早めに脱いで体を乾かします。外出先で着替えが難しい場合は、清潔なタオルで外陰部周辺の汗を押さえ、帰宅後にぬるま湯で洗うとよいでしょう。

睡眠と休養を十分に取る

睡眠不足や疲労だけでおりものの臭いが直接決まるわけではありませんが、体調を崩した時期に腟カンジダなどを繰り返す方もいます。忙しい日が続いているときは、睡眠時間を確保し、無理のない範囲で休養を取りましょう。食事を極端に制限するのではなく、主食・主菜・副菜を組み合わせることも体調管理の基本です。セルフケアで改善しない変化は、体調のせいにせず医師へ相談してください

性交時はコンドームを正しく使用する

コンドームを性交の初めから終わりまで正しく使用することは、クラミジアや淋菌、トリコモナスなどの性感染症リスクを下げる方法の一つです。ただし、使用してもすべての性感染症を完全に防げるわけではありません。使用期限や破損の有無を確認し、1回ごとに新しいものを使いましょう。パートナーが変わった場合や、不安な性交があった場合は、症状の有無だけで判断せず検査を検討します。

おりものの臭いに関するよくある質問

おりものの臭いに悩む方が抱きやすい疑問について、市販薬やおりものシートの使用方法も含めて回答します

かゆみがなくても病気の可能性はある?

かゆみがなくても、細菌性腟症やクラミジアなどが隠れている可能性があります。細菌性腟症では魚のような臭いや灰白色のおりものだけが現れることがあり、クラミジアなどの性感染症は自覚できる変化がほとんどないケースもあります。かゆみの有無だけでは判断せず、悪臭や色・量の変化、不正出血、性交後の変化も確認しましょう。普段と違う状態が続く場合は検査を検討してください。

おりものの臭いは市販薬で治せる?

おりものの臭いそのものを対象に、原因を問わず使用できる市販薬はありません。腟カンジダの再発に使える薬はありますが、細菌性腟症やトリコモナス腟炎、クラミジアなどには別の治療が必要です。原因に合わない薬を使うと、適切な診断が遅れる可能性があります。初めての症状、悪臭や痛みがある場合、妊娠中、短期間に繰り返す場合は、市販薬を使う前に受診しましょう。

おりものシートは毎日使ってもよい?

おりものシートを毎日使用すること自体が直ちに問題になるわけではありませんが、同じシートを長時間使うと蒸れやかぶれにつながります。肌に合う無香料の製品を選び、汚れの程度にかかわらずこまめに交換してください。かゆみや赤みが出た場合は使用を中止し、綿素材の下着で通気性を確保します。シートを替えても悪臭が続く場合は、臭いを吸収するだけで済ませず、原因を確認しましょう。

おりものの臭いと他の変化を確認して適切に対処しよう

少し酸っぱい程度で、おりものの色や量が普段と変わらず、かゆみや痛みもなければ、生理的な臭いの可能性があります。一方、魚や腐敗物のような悪臭、灰色・黄緑色への変化、不正出血、排尿痛、性交痛、下腹部痛などがある場合は、婦人科で原因を確認しましょう

特に発熱や強い下腹部痛、閉経後の出血、妊娠中の異常な変化がある場合は、早めの対応が必要です。臭いを消そうとして腟内を洗浄したり、原因が分からないまま市販薬を使用したりせず、色・量・症状の経過を記録して医師へ伝えてください

性交後のおりものの変化や、パートナーからの性感染症が心配な方は、性病ドットコムで性感染症に関する基礎知識を確認し、必要に応じて婦人科や専門の医療機関への相談を検討しましょう

監修医師紹介
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
医療法人 星敬会 理事長
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