妊娠時の性感染のリスクとは?

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

妊娠中は、性感染症(性病)にかからないように注意すべきとはわかっていても、「具体的に何をすればいいの?」「感染したらどんな影響があるの?」と不安や疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
性感染症にかかることで、妊婦さん本人だけでなく、胎児にもさまざまなリスクが及ぶ可能性があります。

本記事では、妊娠中における性病感染のリスクとその予防法について解説します。
安全な妊娠・出産を迎えるために、正しい知識を身につけ、リスクを回避していきましょう。

妊娠中の性病感染、赤ちゃんへの影響ってある?

性病に感染した状態で妊娠すると、母子感染(病気が胎児へ感染)する可能性があります。
感染経路は主に以下の3つに分かれ、それぞれ影響を及ぼす疾患があります。

これらの感染症を放置すると、流産や早産、胎児の発育異常など、妊娠経過や赤ちゃんの健康に深刻な影響を与えることがあります。
感染に気づかず治療が遅れると、母体への負担も大きくなるため、妊娠中は早期の検査と予防が非常に重要です。

妊娠を希望する方・妊娠中に注意すべき感染症

妊娠中、または妊娠を望んでいる方が特に注意したい性感染症をご紹介します。
それぞれの特徴や症状、胎児への影響を理解し、事前に予防対策をとっておくことが大切です。

風疹

風疹は、風疹ウイルスに感染することで発症する感染症です。
妊婦が風疹にかかると、胎児も風疹ウイルスに感染し、心疾患や白内障、難聴や心身の発達の遅れなどが起こる可能性があります。
また、風疹に対する免疫がない女性が妊娠20週頃までに感染すると、先天性風疹症候群の胎児が生まれるケースもあります。

HTLV-1

HTLV-1は、ヒトT細胞白血病ウイルス(Human T-cell Leukemia Virus Type1)の略です。
感染経路は、母子感染や性行為による感染、血液感染などがあります。
妊婦が感染すると、母乳を介して胎児がHTLV-1に感染する可能性があります。

HIV

HIVは、ヒト免疫不全ウイルスの感染が原因で起こる疾患です。
妊婦がHIVに感染すると、妊娠や出産、授乳のタイミングで胎児に感染する可能性があります。
ただし、適切な治療と管理により、母子感染を防ぐことは可能です。
妊娠初期のHIV検査が重要です。

梅毒

梅毒は、性行為によって粘膜や皮膚の小さなキズから梅毒トレポネーマが侵入することで感染する疾患です。
胎児が母体内で胎盤を通して感染する先天梅毒では、皮膚病変や鼻閉、黄疸といった症状が出るケースがあります。

B型肝炎

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスが血液や体液を介して感染する疾患です。
出産時に感染していると、持続感染(生涯にわたって感染が継続するもの)が引き起こされるリスクがあります。
出産直後に赤ちゃんに予防接種を行うことで、感染予防が可能です。

C型肝炎

C型肝炎は、C型肝炎ウイルスが原因で生じる疾患です。
C型肝炎ウイルスに感染すると、慢性肝炎や肝硬変、肝がんといった病気に発展する可能性があります。

性器クラミジア感染症

性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスの感染が原因で起こる疾患です。
感染しても自覚症状が出ないことがありますが、妊婦が感染している場合、早産のリスクが高まります。

性器ヘルペス感染症

性器ヘルペス感染症は、単純ヘルペスウイルスの感染が原因で起こる疾患です。
感染すると、水疱や潰瘍などの症状が見られることがあります。
妊婦が感染すると、出産時に産道感染し、子どもが脳炎や肺炎を引き起こすリスクがあります。

感染に気づくのはいつ?

性感染症への感染は、妊婦健診時の検査などで発覚するケースがあります。
検査結果で感染が判明した場合は、医師の指示に従い、できるだけ早く適切な治療を受けることが大切です。
また、検査前の段階でも、身体の異変から感染を疑うことがあるかもしれません。

たとえば以下のような症状が現れることがあります。

  • 陰部のかゆみ
  • おりものの量や色の変化
  • 不快なにおい

これらは感染のサインかもしれません。
気になる症状がある場合は、自己判断せず、必ず医療機関を受診しましょう。

妊娠中に性病(性感染症)に感染した場合は?

妊娠中に性病が判明した場合、ご自身の治療だけでなく、パートナーの治療も重要です。
一方が治療を受けても、もう一方に感染源が残っていれば再感染のリスクが高くなります。

以下の点に気をつけましょう

  • パートナーにも検査・治療を受けてもらう
  • 感染経路を確認し、再発防止に努める
  • 必要に応じて医師やカウンセラーに相談する

早期の対応が母体と赤ちゃんの健康を守るカギになります。

妊娠中の感染症予防

妊娠中に性病感染を防ぐためには、以下の対策が必要です。
パートナーに協力してもらいながら、性病を予防しましょう。

予防策内容
コンドームを着用するコンドームを使用した状態で性行為を行うと、精液や腟分泌液などが直接性器に触れなくなるため、性病感染のリスクを減らせる。
パートナー以外との性行為をしない特定の安心できるパートナーとだけ性行為をすることで、感染のリスクが減らせる。
性行為をするときは清潔な状態でおこなう性行為の前に入浴やシャワーをして体を清潔な状態にしておく。
また、ベッドや寝具などが汚れてないかをチェックすることも大切。
妊娠前に夫婦で性病検査を受ける妊娠前に問診、内診、血液検査、腟分泌検査、尿検査などを受け、性病感染していないことを確認しておく。

少しでも違和感を感じたら、
一度検査を受けてみませんか?
西梅田シティクリニックで受診をしよう。

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監修医師紹介
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
医療法人 星敬会 理事長
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