性病は完治しない?正しい知識と治療

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

「性病は完治しないの?」
性病について調べる中で、このような疑問を持ったことはありませんか?

実際に、性病には完治するものと、完治が難しいものがあります。
しかし、適切な治療を受けることで症状を抑えたり、再発を防いだりすることは可能です。

本記事では、完治できる性病・再発しやすい性病・完治が難しい性病について解説し、予防策や適切な対応についてもご紹介します。
正しい知識を身につけ、健康を守りましょう。

性病は完治する?

多くの性病は、適切な治療を受けることで完治が可能です。
特に細菌感染による性病は、抗生剤の服用によって完治できます。

しかし、尖圭コンジローマ性器ヘルペスなどのウイルス性の性病は、治療を行っても体内にウイルスが潜伏し続けるため、再発するリスクがあります。

また、HIV(エイズウイルス)に感染した場合は、現時点では完治が不可能です。
ただし、医学の進歩により、適切な治療を受けることで症状をコントロールし、健康な生活を維持することができるようになっています。

大切なのは、性病を早期に発見し、適切な治療を受けることです。
以下では、完治しやすい性病・再発しやすい性病・完治が難しい性病について解説します。

抗生剤で治りやすい性病

抗生剤を服用することで、性病の原因となる細菌を死滅させ、増殖を防止できます。
使用する薬は、性病ごとで異なります。

抗生剤で治りやすい性病は以下のとおりです。

性病おもな薬治療期間(目安)
梅毒筋注製剤、ベンジルペニシリンカリウム、ベンジルペニシリンベンザチンなど2〜8週間程度
淋病オーグメンチン、アジスロマイシンなど重症例の場合、7日程度
性器クラミジアレボフロキサシン、アジスロマイシンなど7日程度

それぞれの性病に関する情報は以下のとおりです。

完治しやすい性病

梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌に感染することで発症します。

感染後、症状は以下の段階を経て進行します。

  • 第1期(感染後約3週間):小さなしこりや赤い腫れが発生
  • 第2期(感染後約3か月):バラ疹と呼ばれるピンク色の発疹が手足や顔に出現
  • 第3期(感染後約3年) :ゴム腫と呼ばれる腫瘍が発生し、皮膚や内臓に広がる
  • 第4期(感染後10年以上):神経障害や心疾患など、命に関わる症状が現れる

早期にペニシリン系の抗生剤を使用すれば、完治が可能です。

●淋病

淋病は淋菌の感染によって発症します。

  • 男性:尿道に激しい痛み、膿の排出
  • 女性:おりものの増加、性交時の痛み、不正出血

抗生剤の服用で治療できるため、早めの診断と治療が重要です。

●性器クラミジア

クラミジアは、クラミジア・トラコマチスという細菌による感染症です。

  • 男性:排尿時の痛み、不妊のリスク
  • 女性:子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎など

抗生剤による治療が有効であり、早期治療で完治可能です。

再発しやすい性病

●性器ヘルペス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV-1型・HSV-2型)が原因で発症します。

  • 症状:太ももや性器周辺の痛み、発熱、倦怠感、ただれ

ウイルスは体内に潜伏するため、ストレスや免疫低下により再発しやすいのが特徴です。
抗ウイルス薬で症状を抑えることはできますが、根本的な完治は難しいです

●カンジダ

カンジダ菌は常在菌の一種であり、免疫力の低下や糖分の摂りすぎによって増殖し、症状が現れます。

  • 男性:かゆみ、不快感、陰茎の発赤
  • 女性:腟や外陰部のかゆみ、性交痛、排尿痛

再発しやすいため、生活習慣の見直しが重要です。

完治しない性病

完治しない性病としては、以下が挙げられます。

●尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発症する性病で、治療後もウイルスが体内に残るため、再発しやすいです。

  • 症状:性器や肛門周囲にカリフラワー状のいぼが発生

治療には、いぼの切除や外用薬の使用が必要ですが、完治は難しいといわれています。

●HIV(ヒト免疫不全ウイルス)

HIVに感染すると、免疫力が低下し、エイズ(後天性免疫不全症候群)を発症する可能性があります。

  • 急性期   :発熱、喉の痛み、筋肉痛、下痢
  • エイズ発症期:神経障害、悪性腫瘍、日和見感染症

現在の治療では、適切な薬の服用によってウイルスの増殖を抑えることができますが、完治は難しいといわれています。

放置するとどうなる?性病の進行と体への影響

性病を放置すると、以下のリスクが起こります。

  • パートナーへの感染リスク
    気づかないうちにパートナーに性病を感染させてしまい、健康被害が出る可能性がある
  • 母子感染のリスク
    妊娠前・妊娠中に性病に感染することで病気が母子感染する可能性がある
  • 重篤化のリスク
    感染後も放置したり、治療を十分におこなわなかったりすると、症状が重篤化する可能性がある
  • 無精子症や不妊症のリスク
    病を放置すると、男女ともに不妊の原因になる
  • 免疫力低下のリスク
  • 自覚症状がないまま免疫力が低下し、健康を害す可能性がある

症状がなくても感染している?検査の重要性

性病は感染しても症状が現れないケースがあります。
また、知らないうちに不特定多数の方に感染を拡大させてしまうこともあるでしょう。
その過程で、性病が進行して卵管炎や前立腺炎、不妊や早産などのリスクも高まります。

このようなリスクを防ぐためには、適切な検査を受けることが重要です。
必要に応じて性器や喉などを検査し、性病の有無を確認しましょう。

パートナーとどう向き合う?感染を防ぐためのポイント

性病の感染を防止し、パートナーと健康な毎日を過ごすためには、以下の対策が必要です。

  • コンドームを使用する
  • 性行為の前後にシャワーを浴びる
  • 性行為の前に排尿・排便を済ませる
  • 相手の性器を確認する
  • 性器を傷つけない
  • 体調不良の際は性行為しない
  • 生理中は性行為しない
  • 寝具を清潔に維持しておく

上記を実践することで、性病感染のリスク低減が可能です。
パートナーと十分に話し合ったうえで性病対策に努めましょう。

少しでも違和感を感じたら、
一度検査を受けてみませんか?
西梅田シティクリニックで受診をしよう。

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監修医師紹介
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
医療法人 星敬会 理事長
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