性病の知識

自宅でも検査ができて安心!梅毒の検査方法について知っていますか?

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

梅毒とは?

梅毒トレポネーマの電子顕微鏡像(ネガティブ染色)
梅毒トレポネーマの電子顕微鏡像(ネガティブ染色)

引用:国立感染症研究所ホームページ

梅毒とは、梅毒トレポネーマ(細菌)が感染して起こる病気のことです。梅毒の症状は、梅毒トレポネーマに感染してから21日間前後で発症します。

体内に侵入した梅毒トレポネーマは、血液を経由して全身に感染拡大していきます。時間の経過と共に症状が悪化し、全身に異変が起こることもあるでしょう。

梅毒の主な症状は次の通りです。

  • 発疹ができる
  • しこりができる
  • 炎症がでる
  • 脳や心臓に病変が起きる

梅毒は、症状が一時的に消えることがあるため、発見が遅れる場合があります。発見が遅れると症状が悪化し、心臓や脳に深刻な合併症を起こす可能性があります。

梅毒患者は増えている?

日本では、1948年に梅毒が発生したとの報告があります。

1967年には年間約11,000人の梅毒患者が報告されましたが、それ以降は患者数が減少していました。しかし2011年頃から梅毒患者数が増加。2021年以降、さらに増加の一途を辿っています。

2022年10月下旬時点では、10,000例を超える感染報告がありました。

感染者数が多い年代としては、男性の場合は20〜50代が多く、女性の場合は20代が突出して増えています。

自宅で検査するには梅毒検査キット

「誰にも知られずに梅毒検査がしたい…」このように考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな方におすすめなのが梅毒検査キットです。梅毒検査キットを活用することで、医療機関に行かずとも自宅で検査が可能になります。

梅毒検査キットはどなたでも簡単に使用可能です。

まずキットの中からランセット(採血器具)を取り出し、指先を針で軽くつつくことで血液が出ます。血液が出たら、ろ紙の先端で血液を採取し、検査申込書などと一緒に送り先へ返送します。

検査キットを利用する場合、ネットなどでキットを購入してから翌日以降にキットが届き、検査をします。検査キットを返送してから最短翌日に施設に届き、その後1〜3日程度で結果が確認可能です。

検査キットを購入してから結果がわかるまで1週間程度かかるため、すぐに結果を知りたい方は院内検査をおすすめします。

匿名で検査をしたい方、忙しくてなかなか医療機関に行けない方にはおすすめな検査方法です。

医療機関で梅毒を検査する方法は?

医療機関で梅毒の検査を行う場合は、主に2つの方法があります。

いずれの検査方法においてもウィンドウピリオド(検査で感染結果がわからない空白期間)を過ぎて検査しなければなりません。それぞれ詳しく解説します。

TP法(TP抗体検査)

感染してから2ヶ月が経過している段階で検査が可能になる方法です。血液検査を行うことで即日結果がわかります。

TP法の場合、1度でも梅毒に感染すると、生涯に渡って陽性反応が出続けるのが一般的です。

そのため既に梅毒に罹患したことのある方は、感染から2ヶ月が経過していたとしても、結果次第でRPR法を勧める場合があります。

RPR法(RPR抗体定量検査)

感染してから1ヶ月が経過している段階で検査が可能になる方法です。血液検査を行うことで翌日以降に結果がわかります。

既往歴がある方の場合は、数値によって1ヶ月程度経過してから値の変化を確認しなければならないケースがあります。

梅毒検査後の治療方法とは?

梅毒検査の結果、陽性だった場合、2〜12週間程度ペニシリン系の抗生物質が処方されます。

感染者がペニシリンに対してアレルギーを持っていた場合は、別の抗生物質を用いて治療を行います。

処方された薬を服用後、治療経過を確認するために、約1ヶ月程度経過してから複数回RPR法による検査を行うのが一般的です。(TP法の場合、1度梅毒に感染している方は陰性にならないため、治療判定ができません)

抗生物質を服用後に、RPRの数値がどのぐらい下がったのかを医師が判断します。直近の性行為がなく、陰性の基準数値内であれば、治療は終了です。

梅毒の早期発見のために医療機関で検査を

梅毒に感染すると、口の中や性器に指先程度しこりができたり、痛みや発疹が全身に広がる場合があります。

梅毒は、自然治癒する病気ではありません。そのため、万が一梅毒の症状が無くなっても、感染力が残っている場合があるのです。

治療をせず放置すると数年から数十年の間に血管や心臓、脳などの臓器に病変が起きる可能性があります。最悪の場合、死に至ることもあるでしょう。

また妊婦が梅毒に感染する場合、胎盤を通じて胎児に感染する可能性があるため、非常に危険です。早産や死産が起こる原因になったり、生まれてくる子供の骨や神経に異常が出る可能性があります。また生まれた直後に症状がない場合でも、成長していくにつれ、症状が遅れて出る場合もあるでしょう。

上記のさまざまなリスクを回避するためにも、梅毒検査によって早期発見し、早期治療を行う必要があります。

現在は、医療機関での検査だけなく、自宅で簡単に行える検査キットも販売されています。しかし検査キットの場合、結果が判明するまでに時間がかかります。

一方で医療機関の検査の場合は最短当日、遅くとも翌日以降には結果がわかります。より早期に梅毒を発見・治療するためにも医療機関での検査をおすすめします。少しでも異変を感じる方は速やかに医療機関を受診してください。

またパートナーに異変がある場合は、検査を勧めてください。

日頃の感染対策としては、コンドームの使用がおすすめです。

コンドームを使用することで、梅毒感染のリスク低減につながります。普段から早期発見・早期治療に加え、感染予防にも努めましょう。

少しでも違和感を感じたら、一度検査を受けてみませんか?
西梅田シティクリニックで受診をしよう。

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監修医師紹介
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
医療法人 星敬会 理事長
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