抗菌薬だけでは治らない!性病治療の正しい知識とよくある誤解

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

「抗菌薬を飲めば性病は治る」
インターネットやSNSで、このような情報を目にしたことはありませんか?

結論からいうと、性病(性感染症)は抗菌薬を飲めば必ず治るわけではありません。性感染症には細菌だけでなくウイルスや真菌(カビ)、原虫などさまざまな病原体が関わっており、治療法は病気の種類や患者さんの状態によって異なります。

本記事では、抗菌薬の役割、治療が長引く理由、性病治療の正しい流れ、そして感染を広げないために大切なポイントについて解説します。

抗菌薬とは?性病治療における役割

抗菌薬とは、細菌の増殖を抑制したり死滅させたりする薬です。

  • 代表例:ペニシリン(細菌の細胞壁合成を阻害)
  • 細菌感染症には有効だが、ウイルスや真菌が原因の病気には効かない
  • 腸内細菌にも影響し、副作用を起こす可能性もある

性感染症の中で、クラミジア淋病梅毒マイコプラズマなど「細菌が原因の病気」には抗菌薬が有効です。しかし、性器ヘルペスやHIVなどウイルスが原因の病気は抗菌薬では治療できません

抗菌薬だけでは不十分!治療が長引く理由

細菌は抗菌薬に対抗する力(耐性)を持つことがあります。

  • 抗菌薬が効かないよう細胞膜を変化させる
  • 薬を分解する酵素を作り出す
  • 薬を細菌の外に排出する

こうした「薬剤耐性菌」が増えると、従来の抗菌薬が効かなくなり、性感染症の治療が長引いたり失敗したりする原因になります。適切な種類・量を見極めずに服用すると、治療効果が不十分になり、症状が悪化するリスクがあります。

ネット情報に注意!よくある誤解

 
 

「クラミジアや淋病は自然に治る?」

自然治癒はありません
免疫力では病原体を排除できず、放置すると不妊や合併症を引き起こします。

 
 

「市販薬やサプリで治る?」

科学的根拠はなく、むしろ発見が遅れて重症化する危険があります。

排尿痛やかゆみ、おりもの異常などの症状があれば、必ず医療機関で検査と治療を受けることが大切です。

性病治療の正しい流れ

性感染症の種類によって治療法は異なります。

治療方法対象疾患
内服薬梅毒
クラミジア
HIV/エイズ
ヘルペス
トリコモナス
マイコプラズマ・ウレアプラズマ
カンジダ
一般細菌赤痢アメーバ
腟錠カンジダ
細菌性腟炎の一部
点滴淋病
外用薬尖圭コンジローマ
カンジダ
  • 医療機関での検査 → 診断 → 適切な薬の処方
  • 近くに病院がない場合はオンライン診療の活用も可能
  • 陽性が確認されたら、パートナーも一緒に検査・治療を受けることが重要

感染拡大を防ぐためのポイント

  • 性行為を控える、または必ずコンドームを使用する
  • 不特定多数との性行為を避ける
  • パートナーと一緒に定期的な性病検査を受ける
  • 体調不良時や免疫力が落ちているときは性行為を控える
  • 性行為の前後にシャワーを浴び、寝具や日用品を清潔に保つ

性感染症は「自分だけの問題」ではなく、パートナーや将来の健康にも影響します。

まとめ

  • 抗菌薬は細菌性の性病には有効だが、すべての性感染症を治すわけではない
  • 耐性菌の問題があり、誤った服用で治療が長引くこともある
  • 性病は自然治癒せず、正しい診断と治療が必要
  • 完治には早期発見・適切な治療・パートナーと一緒の対応が欠かせない
  • 予防にはコンドーム使用、定期検査、生活環境の衛生管理が大切

性感染症は正しい知識と行動で予防・治療できる病気です。
ネット情報を鵜呑みにせず、信頼できる医師のもとで早めの検査・治療を受けましょう。

参考文献

少しでも違和感を感じたら、
一度検査を受けてみませんか?
西梅田シティクリニックで受診をしよう。

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監修医師紹介
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
医療法人 星敬会 理事長
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