直腸の性感染症(クラミジア・淋菌)とは?症状・検査・治療とHIV感染リスク

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

「直腸炎にかかるとどうなるの?」
性感染症による直腸炎は自覚症状が少なく、気づかないまま進行してしまうケースが少なくありません。
クラミジア淋菌が原因で発症することが多く、放置するとパートナーに感染させてしまったり、HIV感染のリスクを高めたりする危険があります。

本記事では、直腸炎の症状、感染経路、検査・治療方法、そして予防のために知っておくべきポイントを解説します。

直腸炎とは

直腸炎とは、直腸の粘膜に炎症が起きている状態です。

主な症状

  • 排便時の痛み・違和感
  • 便に血液や粘液、膿が混じる
  • 下痢が続く

性感染症が原因の場合、クラミジア性直腸炎・淋菌性直腸炎と呼ばれます。どちらも無症状で進行することがあり、知らぬ間に感染を拡大させてしまうリスクがあります。

直腸炎の症状

直腸炎の症状が出る場合は、おもに以下の状態になります。

クラミジア性直腸炎の症状

クラミジアが直腸に感染すると以下のような症状が現れることがあります。

  • 軽い下痢
  • 肛門の痛み
  • 排便時の出血
  • 粘膜の赤み(発赤)

症状が軽いため見逃されやすいのが特徴です。

淋菌性直腸炎の症状

淋菌による直腸炎では、より強い炎症が起きることがあります。

  • 肛門や下腹部の痛み
  • かゆみ・不快感
  • 膿や血液の排出
  • 下痢

クラミジアよりも症状がはっきり出ることがありますが、両者を症状だけで区別することはできません。

直腸炎の感染経路

  • アナルセックス(肛門性交)が最も一般的な感染経路
  • 性器に感染したクラミジア・淋菌が肛門へ広がるケース
  • 腟分泌液が肛門に流れて感染する場合

性器に感染があると、直腸にもうつっていることがあるので、念のため全体的な検査を受けたほうが安心です。

HIV感染リスクとの関係

直腸炎にかかると、HIVに感染するリスクが4〜6倍に上がることが知られています。
炎症で直腸粘膜が傷つき、ウイルスが侵入しやすくなるためです。

無症状でも油断せず、定期的な検査で自分の健康状態を確認しておくことが重要です。

直腸炎の検査方法

医療機関で直腸炎の診断をおこなう際は、以下の内容を確認します。

  • 服薬歴(抗菌薬など)
  • 性行為歴(肛門性交の有無)
  • 海外渡航歴(特に東南アジア)
  • 内視鏡検査
  • 血液検査・便培養検査
  • 直腸の触診

さらに、性器・喉・直腸のすべてでクラミジア・淋菌の検査を行うとより正確に診断できます。

直腸炎の治療方法

原因によって治療法は異なります。

  • 性感染症が原因
    • 抗菌薬・抗生物質の内服で治療
    • 多くは薬物療法で改善
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)が原因
    • 長期的な治療が必要
    • 効果が乏しい場合や出血が重度な場合は手術が検討される

食事の工夫

治療中は腸への刺激を減らすため、低脂肪食を中心にすることが推奨されます。

  • 摂取するとよい食品例
    豆腐、味噌、りんご、にんじん、番茶
  • 控えるべき食品例
    ごぼう、レンコン、カレー、乳製品、辛味の強い香辛料、コーヒー

健康を守るために|定期的な検査を

直腸炎は無症状で進行することもあり、気づかないうちにパートナーへ感染させてしまう危険があります。
以下の症状がある場合は、放置せず医療機関を受診しましょう。

  • 少しでも下痢や排便痛が続くとき
  • 性行為後に違和感を覚えるとき

性感染症は「自分には関係ない」と思っていても誰でも感染する可能性があります。
定期的な性病検査と、異常があるときの早期受診が自分と大切な人を守る第一歩です。

まとめ

  • 直腸炎はクラミジア淋菌が原因になることが多い
  • 無症状でも進行し、HIV感染リスクを高める
  • 検査は直腸だけでなく性器・喉も含めて行うのが理想
  • 治療は抗菌薬で改善可能だが、炎症性腸疾患が原因の場合は長期治療や手術が必要
  • 定期的な検査と生活習慣の見直しが健康維持につながる

参考文献

少しでも違和感を感じたら、
一度検査を受けてみませんか?
西梅田シティクリニックで受診をしよう。

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監修医師紹介
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
医療法人 星敬会 理事長
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