性病の知識

直腸の性感染症に感染していると、他の性感染症のリスクも数倍に!?

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

「直腸炎にかかると、どうなる?」
直腸炎と診断された患者さんのなかには、このような疑問を抱える方もいるでしょう。
直腸炎にかかると、クラミジアや淋菌などの性感染症をともなうケースがあります。
放置すると、知らない間に重篤化し、甚大な健康被害が起きる場合もあるかもしれません。

本記事では、直腸炎の概要やおもな症状、検査方法や治療方法について解説します。
直腸炎と診断された場合は、医師の指示をしっかり聞き、適切な治療を受けましょう。
また、必要に応じてパートナーも検査・治療を受けることをおすすめします。

直腸炎とは

直腸炎とは、直腸粘膜に炎症が起こる状態です。
発症すると、排便時の痛みや違和感が出る場合があり、便に血液や粘液、膿が混ざるケースがあります。
クラミジアによって起こる直腸炎をクラミジア直腸炎淋菌によって起こる直腸炎を淋菌性直腸炎といいます。
いずれの場合も、自覚症状が出ない場合があるため、感染に気づかないケースがあります。
その結果、気づかないうちにパートナーを感染させてしまう場合もあるでしょう。

直腸炎の症状

直腸炎の症状が出る場合は、おもに以下の状態になります。

クラミジア性直腸炎の症状

クラミジア性直腸炎の症状が起こる場合、軽い下痢や肛門痛、排便時の出血が生じるケースがあります。
また、発赤が起き、肉眼で確認できる場合もあるでしょう。

淋菌性直腸炎の症状

淋菌性直腸炎の症状が起こる場合、下腹部や肛門の痛み、かゆみや不快感をともなうケースがあります。
また、血液や膿が出たり、下痢になったりする場合もあるでしょう。

直腸炎の感染経路

直腸炎のおもな感染経路は、アナルセックス(肛門性交)です。
また、性器に感染した結果として直腸へ感染する場合や、腟分泌液が肛門に流れて直腸に感染する経路が考えられます。
淋菌クラミジアに感染している場合は、直腸まで感染している可能性があることを知っておきましょう。

直腸炎がHIV感染を引き起こすリスク

直腸炎は、感染したとしても、症状が出ない場合があります。
しかし、感染すると、HIV感染を引き起こすリスクが4〜6倍に高まります

知らず知らずのうちに健康被害が生じ、取り返しのつかない事態に発展するケースがあるため、定期的に性病検査をおこない、健康管理を徹底しなければなりません。

直腸炎の検査方法

医療機関で直腸炎の診断をおこなう際は、以下の内容を確認します。

  • 抗菌薬の服用歴
  • 肛門性交の有無
  • 放射線治療駅の有無
  • 直近の食事内容
  • 東南アジア地域への渡航歴など

また、治療方針を立てていきながら、大腸内視鏡検査や血液検査、便培養検査や触診などがおこなわれます。

性器・喉・直腸のすべてでクラミジア淋菌の検査をおこなうことで、網羅的な検査が実現可能です。

直腸炎の治療方法

直腸炎を治療するためには、抗炎症剤や下痢止めの薬を服用や、栄養補給を目的としたサプリメントの摂取も必要になる場合があります。
感染症が原因の直腸炎の場合は、原因菌の治療をおこなうために、薬物療法のみで対処されるケースが多いでしょう。

クローン病や潰瘍性大腸炎が原因の場合は、根治治療が困難であり、長期間の治療が必要です。
また、薬の効果がみられない場合や出血がコントロールできない場合は、手術によって治療を進めるケースもあります。

治療中の食事では、なるべく低脂肪の食事をとるよう心がけてください。
脂肪の多い食事をとると、腸に刺激が加わり、下痢がひどくなる場合があるからです。
たとえば、以下のものを積極的に食べるとよいでしょう。

  • 豆腐
  • 味噌
  • りんご
  • にんじん
  • 番茶

また高カロリーの食事を控えることも大切です。
たとえば、以下のような食品は控えてください。

  • ごぼう
  • レンコン
  • カレー
  • 乳製品
  • 一味
  • 七味唐辛子
  • コーヒー

健康的な体を維持するために定期的な検査を受けよう

直腸炎は、クラミジア淋菌の感染をともなうリスクがあり、自覚症状が出ない場合、知らないうちに症状が重篤化するケースがあります。
最初は軽い排尿時の痛みや下痢のみだったとしても、気づかないうちに大事なパートナーに感染させてしまうリスクもあるでしょう。

自身だけでなく大切な人を守るためにも、定期的な性病検査をおこない、健康状態を把握しておくことが重要です。
検査の結果、直腸炎や性感染症にかかっていた場合は医師の判断に従い、適切な治療を受けましょう。

「自分に限って感染していることはないだろう」
このように油断しているときに限って、実は感染しているケースもあります。
決して安易に考えず、いつもと調子が異なると感じた場合は、速やかに医療機関を受診し、病状や体調に関して気になることや疑問に思うことがあれば、医師へ気軽に相談しましょう。

治療や薬のことでも構いません。
感染している場合は、心配事や不安に思うことを払拭した状態で適切なケアを継続していきましょう。

少しでも違和感を感じたら、一度検査を受けてみませんか?
西梅田シティクリニックで受診をしよう。

少しでも違和感を感じたら、
一度検査を受けてみませんか?
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監修医師紹介
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
医療法人 星敬会 理事長
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