性交渉経験者の約半数が感染!ヒトパピローマウイルス(HPV)の症状・検査・予防法

赤松 敬之(あかまつ たかゆき)

性交渉の経験がある女性の約2人に1人が生涯で一度は感染するといわれるのが、ヒトパピローマウイルス(HPV)です。

ほとんどは自然に消失しますが、一部は持続感染し、子宮頸がんをはじめとする深刻な病気を引き起こすことがあります。

本記事では、HPVの特徴や感染で起こる病気、検査・治療、そして予防方法について解説します。
女性にとって身近だからこそ、正しい知識を持ち、検診やワクチンで備えることが大切です。

ヒトパピローマウイルスとは(HPV)とは?

HPVは主に性行為によって感染し、生殖器や周辺の粘膜にイボや腫瘍を形成するウイルスです。

  • 種類は100以上存在
  • 一部は子宮頸がんの原因になる(高リスク型:16型・18型など)
  • 一部は尖圭コンジローマなどの良性腫瘍を引き起こす(低リスク型:6型・11型など)

感染しても多くは数年以内に免疫によって自然に排除されます。
しかし、持続感染すると子宮頸がん、外陰がん、肛門がん、中咽頭がんなどに進行する可能性があります。

HPV感染で起こる主な病気

ヒトパピローマウイルスが感染すると起きるおもな病気は以下のとおりです。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは、良性の腫瘍です。

  • 性器や肛門の周囲に尖ったイボが出現
  • 男性は見える位置に、女性は腟内や子宮頸部にできて気づきにくいことも
  • 治療は薬物療法(軟膏)外科療法(レーザー、電気メス、液体窒素による焼却・凍結)

子宮頸がん

  • 初期はほとんど自覚症状がない
  • 進行するとおりものの増加・不正出血・月経異常など
  • 早期発見のためには定期的な子宮頸がん検診とHPV検査が不可欠
  • 初期段階:子宮頸部を一部切除
  • 進行期:子宮全摘や放射線・抗がん剤治療が必要になることも

HPV感染が「がんに至るまで数年~数十年かけて進行する」ことを理解し、検診での早期発見が重要です。

HPVの予防方法

  1. コンドームの使用
    性行為での感染リスクを下げることができますが、完全には防げません。
  2. HPVワクチン接種
    ・感染予防に最も有効
    ・初性交前(10〜14歳頃)の接種が推奨
    ・感染前・感染消失後の再感染予防にも効果的
    ・すでに感染しているウイルスを排除する効果はない
    ・予防効果は約7年とされており、定期的な検診と併用することが重要
  3. 定期的な検診
    子宮頸がん検診(細胞診):日本では20歳以上から推奨
    HPV検査:欧米では30歳以上で導入、日本でも軽度病変時に行われるが、同時実施しても問題なし

海外の取り組み

  • 米国:30歳以上の女性に子宮頸がん検診+HPV検査の併用を推奨
  • 欧州:HPV検査を一次検査として導入し、必要に応じて細胞診を追加
  • 日本:細胞診が中心だが、HPV検査を組み合わせる流れが広がりつつある

健康を守るために

HPVは誰でも感染し得る身近なウイルスです。
「自分は関係ない」と思っていても、性交渉を経験すれば感染する可能性があります。

  • 定期的なHPV検査と子宮頸がん検診
  • 適切な時期でのワクチン接種
  • 生活習慣の改善(免疫力維持)

これらを継続することで、感染しても重症化を防ぎ、健康的な毎日を送ることができます。

まとめ

  • HPVは性交渉経験がある女性の約半数が一度は感染するとされるウイルス
  • 多くは自然に排除されるが、持続感染すると子宮頸がんなど重篤な病気につながる
  • 尖圭コンジローマや中咽頭がんなども発症リスクに含まれる
  • 予防にはHPVワクチン・定期的な検診・コンドームの使用が効果的
  • 「誰にでも感染する可能性がある」という認識を持ち、検査・予防を怠らないことが大切

自分の健康を守るだけでなく、大切な家族やパートナーを守るためにも、HPVについて正しく知り、検診と予防を続けましょう。

参考文献

少しでも違和感を感じたら、
一度検査を受けてみませんか?
西梅田シティクリニックで受診をしよう。

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監修医師紹介
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
赤松 敬之(あかまつ たかゆき)
医療法人 星敬会 理事長
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