2024.11.12 2024.11.12

女性だけではない！「男性の不妊症」にも性感染症が関係していることをご存じですか？

赤松　敬之（あかまつたかゆき）

「性感染症にかかると、不妊症にかかる？」
このような疑問を抱える方がいるのではないでしょうか。

性感染症にかかると体に悪影響がでてしまい、体調を崩したり、日常生活が満足に送れなくなったりします。
場合によっては、長期入院を強いられることもあるでしょう。
本記事では、性感染症と不妊症の相関関係や性病対策の方法について解説します。
自分だけでなく、相手の健康を守るためにも性病対策をしっかり徹底していきましょう。

性感染症と不妊は関係あるの？
男性も感染すると不妊の可能性がある？
子どもがほしい場合は性病検査が大切
性感染症検査を受けて、感染予防をしましょう

性感染症と不妊は関係あるの？

性感染症に感染することで、必ずしも不妊症になることはありません。
しかし、性病によっては、放置することで不妊症につながるケースもあります。

たとえば、女性の場合、クラミジアにかかると不妊症になる場合があります。
クラミジアが腟から体の奥へ進行し、卵管閉塞を引き起こすケースがあるため、油断できません。
性行為の際のコンドームの装着を徹底し、不特定多数の人と性行為しないようにすることが重要となります。

男性も感染すると不妊の可能性がある？

性病に感染することで不妊症になるのは、女性だけではありません。
性病の種類によっては、男性も不妊症になる可能性があります。とくに以下の性病には注意しましょう。

クラミジア

クラミジアにかかると、精子の通り道である精管が炎症を起こし、精巣上体炎につながる可能性があります。
精巣上体炎になると、精管が詰まり、閉塞性無精子症になる場合があります。
クラミジアの感染と精液の質との相関関係を調査した研究によると、クラミジア感染によって、生殖能力の低下がみられたことが報告されました。
近年の研究では、無精子症の患者さんの精巣生検組織を調べたところ、45.3％の割合でクラミジア特有のたんぱく質とDNAが検出されたことがわかっています。

マイコプラズマ・ウレアプラズマ

マイコプラズマ・ウレアプラズマも男性不妊症と関連があるとされています。
とくに関係があるとされているのが、「マイコプラズマ・ジェニタリウム」と「ウレアプラズマ・ウレアリチカム」です。
海外の研究によると「ウレアプラズマ・ウレアリチカム」が男性不妊症と関連性があることが報告されています。

ヒトパピローマウイルス（HPV）

ヒトパピローマウイルスは、女性の子宮がんの原因となるウイルスです。
しかし、男性不妊症とも関連があるとされています。
日本国内の研究によると、ヒトパピローマウイルスが陽性の場合の精液では、精子の運動率が低下することが報告されています。
男性の不妊症に性病は関係ないと決めつけることなく、性病対策をしっかりとおこなっていきましょう。

子どもがほしい場合は性病検査が大切

性感染症は知らないうちに症状が悪化し、健康被害を被ることがあります。
また、大事なパートナーを感染させ、人生を狂わせてしまうこともあります。
とくに、将来的に子どもがほしいと考える場合は、性病検査を定期的に受けることが重要です。

クラミジアやマイコプラズマ・ウレアプラズマ、ヒトパピローマウイルスなどに感染すると、不妊症につながり、子どもに恵まれなくなる可能性があるからです。

また、ある研究では、上記の性感染症に限らず肝炎ウイルスやトリコモナス、HIVなども精子に影響を及ぼすことが報告されています。

性病検査を受ける際は、パートナーと相談しながら、できれば2人で一緒に受診することをおすすめします。
性病検査の重要性をパートナーに説明し、理解を得たうえで検査を受けましょう。

性感染症検査を受けて、感染予防をしましょう

性感染症検査は、日々の生活を健康に送るために必要不可欠です。
とくにパートナーと長く幸せに暮らしたいと思うのであれば、定期的に検査を受けることが大切です。

性感染症は、自身が気づかない間に少しずつ症状が進行することがあります。
気づいたときには重症化し、体への負担がかかる手術を選択しなければならないケースもあるでしょう。
金銭的な負担もかかる場合があるため、定期的に性感染症検査を受けることは重要です。
まずは基本的なことからで構いません。
「性行為の際にコンドームを装着する」、「不特定多数の人と性行為しない」、「体調不良のときには性行為しない」といった対策を実践しましょう。

また、感染予防をするには、性行為をする相手は、信頼できる人に限定してください。
性感染症に理解があり、危機管理能力を持っている人や相手を思いやれる人が望ましいでしょう。
とはいえ、信頼関係はあるものの、性病に関して知識が不足している相手もいるかもしれません。
このような場合は、相手のためと思って、性感染症に罹患することのリスクを教えてあげることも大切です。
性感染症について、自身で情報をキャッチアップし、大切な人へ共有してあげましょう。

性病に関して困ったことや不安に思うこと、相談したいことなどがあれば、遠慮なく当院へお声がけください。