口・唇の周りのできものって性病を疑った方がいい?
「口・唇の周りのできものができたけど、これって性病?」
性行為の後に口や唇の周囲にできものが生じた場合は、梅毒の可能性があります。
もし、数日経過して症状が消えたとしても、性病検査を受けることをおすすめします。
なぜなら、梅毒は症状が出たら自然治癒することがないからです。
場合によっては重症化し、命に関わる状態に発展するため、安易に考えてはいけません。
本記事を読み、梅毒の症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診してください。
そして、適切な検査を受け、梅毒を確実に治療しましょう。
梅毒とは
梅毒とは、性感染症の一種であり、梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌が粘膜から感染することで起こる疾患です。
梅毒感染者の数は2010年代から増加傾向にあり、2021年からさらに増加して社会問題になっています。
梅毒は性行為によって非感染者の粘膜や皮膚に直接接触することで感染します。
感染者の血液や腟分泌液、精液などを介して感染する場合があるでしょう。
梅毒の症状
梅毒の症状は、第1〜4期まで存在し、第2期までを早期顕性梅毒、第3期以降を晩期顕性梅毒と呼びます。
潜伏期間は、21日前後です。
第1期
第1期は、梅毒に感染してから3週間〜3ヶ月までの期間です。
陰部や唇、口内や肛門付近に痛みのないしこりができます。
その後、しこりが潰瘍やびらんになります。
痛みはほとんどありませんが、股の付け根のリンパ節が腫れる場合があるでしょう。
治療をせずとも、一定期間経過すると初期段階の症状は消えるものの、梅毒の菌が消えたわけではありません。
第2期
第2期は、梅毒に感染してから3ヶ月〜3年までの期間です。
治療をしないまま3ヶ月以上放置すると、症状が進行して菌が血液を介して全身に回ります。
全身に赤い斑点(梅毒性バラ疹)が現れ、手のひらや足の裏に皮むけや赤い皮疹(梅毒性乾癬)が起こる場合もあります。
性器や肛門の周囲に平らなしこり(扁平コンジローマ)や口内炎のような発疹(梅毒性粘膜疹)ができる場合もあるでしょう。
第3期
第3期は、梅毒に感染してから3年以降の期間です。
感染から数年が経過すると、筋肉や皮膚に腫瘍(ゴム腫)が発生します。
鼻の骨にゴム腫ができると鼻が欠けてしまうケースもあるでしょう。
第4期
第4期は、梅毒に感染してから10年以上経過している状態です。
臓器にも腫瘍ができ始め、神経に影響を及ぼすため、神経梅毒とも呼ばれます。
この時期になると、大動脈炎や大動脈瘤、麻痺性痴呆や脊髄ろうなどが起き、死に至る場合があるでしょう。
梅毒検査のポイントを解説
梅毒の検査は、TP検査とRPR法による検査の2種類があります。
TP法は性行為をおこなってから2ヶ月が経過する方の場合におこなう検査です。
RPR法は、性行為をおこなってから1ヶ月以降2ヶ月未満の方を対象に実施します。
梅毒の治療法・予防法
梅毒と診断された場合は、ペニシリン系の構成物質の薬や筋肉注射をおこなって治療します。
抗生物質による飲み薬であれば、毎日薬を服用しなければなりません。
第1期であれば2〜4週間、第2期であれば4〜8週間服用をし続ける必要があります。
梅毒を予防するために最も効果が見込める方法は、コンドームの使用です。
コンドームを使うと、粘膜接触が未然に防げるため、梅毒の細菌感染を防止できることにつながります。
また、不特定多数の人とセックスやオーラスセックスをしないことも大切です。
定期的に性病検査をして、自己管理をおこなうことも重要です。
梅毒は症状が悪化すると、場合によっては死に至るおそれのある非常に危険な病気です。
「自分に限って感染しない」と思っても、ちょっとした性行為やオーラルセックスによって簡単に感染するケースもあります。
感染の初期段階では、口内や唇などに症状が起きるものの、一定期間経つと、症状が消える場合があります。これが、非常に恐ろしい点です。
梅毒に関して知識のない方は「よくわからないけど自然に治った」と思い込み、検査や治療に進みません。
その結果、不特定多数の人に梅毒を感染させるきっかけを作ってしまうことにつながります。
梅毒の感染予防をすることで、自分だけでなく、大事なパートナーを守ることにつながります。
一方で、自分の知識が足りないことがきっかけでパートナーを危険な状況にさらすこともあるでしょう。
大切なのは、正しい知識を持ち、梅毒の感染を未然に防ぐことです。
そのためにできるのは、定期的な検査を受診することです。
とくに仕事柄、不特定多数の人と性行為をする機会が多い人は、定期的に性病検査を受けることをおすすめします。
もし、自身で梅毒の感染が判明したら、パートナーに情報共有し、検査を受けてもらいましょう。
陽性判定の場合は、一緒に治療に専念し、確実に梅毒を治してください。
もし梅毒に関して不明な点があれば、遠慮なく担当の医師に相談しましょう。