献血で性感染症はわかる?通知される検査と献血できないケースを解説
献血した血液には感染症検査が行われますが、すべての性感染症が検査対象となるわけではありません。また、検査されても本人に結果が通知されない感染症があります。
献血は、輸血を必要とする患者さんへ血液を提供するためのものであり、性感染症を調べる目的で利用してはいけません。本記事では、献血で検査される感染症と通知の有無、献血を控える条件を解説します。性感染症が心配な場合に選ぶべき検査方法も確認しましょう。
献血を性感染症の検査目的で利用してはいけない
献血した血液に感染症検査が行われることから、性感染症の有無も調べられると考える方がいるかもしれません。しかし、献血は健康診断や性感染症検査の代わりにはなりません。検査目的で利用してはいけない3つの理由を解説します。
献血は患者の治療に必要な血液を提供するために行う
献血とは、病気やけがの治療で輸血を必要とする患者さんのために、健康な人が無償で血液を提供するボランティアです。提供された血液は、輸血用血液製剤や血漿分画製剤などに使用されます。
血液は人工的に造ることができず、長期間の保存もできません。必要な患者さんへ安全な血液を届けるためにも、性感染症の検査を目的とした献血は避け、問診には正確に回答することが大切です。
献血ではすべての性感染症を調べられるわけではない
献血した血液には、梅毒やHIV、B型・C型・E型肝炎、HTLV-1などの感染症検査が行われます。ただし、クラミジアや淋病、性器ヘルペスなど、献血時の検査対象に含まれない性感染症もあります。
また、検査を実施していても、すべての結果が本人へ通知されるわけではありません。献血で異常の通知がなかったからといって、性感染症に感染していないとは判断できないため、心配な場合は適切な検査を受けましょう。
感染初期は検査で検出できないことがある
性感染症へ感染してから検査で検出できるようになるまでには、ウインドウ・ピリオドと呼ばれる期間があります。この期間中は、感染していても検査結果が陰性になる可能性があるため注意が必要です。
献血した血液には精度の高い検査が行われますが、感染直後の病原体をすべて検出できるとは限りません。感染リスクのある行為に心当たりがある場合は献血を控え、適切な時期に医療機関や保健所などで検査を受けてください。
献血した血液に感染症検査を行う理由
献血した血液には、輸血を受ける患者さんへの感染を防ぐため、複数の感染症検査が行われます。ここでは、献血時に感染症検査を行う目的と、問診を組み合わせて安全性を確保する仕組みについて解説します。
輸血用血液製剤の安全性を確保するために検査する
献血した血液に感染症検査を行う主な目的は、輸血用血液製剤の安全性を確保することです。検査で異常が認められた血液は、原則として輸血用血液製剤には使用されません。
ただし、この検査は献血者の健康状態を診断したり、性感染症の有無を網羅的に調べたりするためのものではありません。感染が心配な方は、献血の検査結果に頼らず、医療機関や保健所などで目的に合った検査を受ける必要があります。
問診と感染症検査を組み合わせて輸血感染を防いでいる
献血前には、健康状態や服薬状況、感染リスクに関わる行為などを確認する問診が行われます。問診で献血が適さないと判断された場合は、採血を受けられないことがあります。
感染初期には、検査を行っても病原体を検出できない可能性があるため、血液検査だけで安全性を確保することは困難です。そのため、感染症検査に加えて、献血者が問診へ正確に回答することが、輸血を受ける患者さんを守るうえで重要になります。
献血で検査される感染症と通知の有無
| 感染症 | 献血時の検査 | 本人への通知 |
| 梅毒 | あり | 通知を希望し、異常が認められた場合に通知 |
| B型肝炎 | あり | 通知を希望し、異常が認められた場合に通知 |
| C型肝炎 | あり | 通知を希望し、異常が認められた場合に通知 |
| E型肝炎 | あり | 通知を希望し、異常が認められた場合に通知 |
| HTLV-1 | あり | 通知を希望し、異常が認められた場合に通知 |
| HIV | あり | 通知されない |
| クラミジア | なし | ― |
| 淋病 | なし | ― |
| 性器ヘルペス | なし | ― |
献血した血液には複数の感染症検査が行われますが、本人への通知対象は限られています。ここでは、主な検査項目と通知の有無、検査対象に含まれない性感染症について解説します。
梅毒は異常が認められた場合に通知される
献血した血液には、梅毒トレポネーマに対する抗体を調べる検査が行われます。受付時に感染症検査結果の通知を希望し、異常が認められた場合は、原則として親展郵便で通知されます。
ただし、献血時の検査は梅毒を診断するためのものではありません。過去の感染や偽陽性などによって異常が示される可能性もあるため、通知を受け取った場合は医療機関で確認検査を受けましょう。
B型・C型・E型肝炎は異常が認められた場合に通知される
献血した血液では、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルスの検査も行われます。受付時に通知を希望した方に異常が認められた場合は、原則として結果が郵送されます。
B型肝炎とC型肝炎は、血液や性的接触などを通じて感染する可能性があります。通知だけでは現在の感染状態を判断できないため、異常を知らせる郵便が届いた場合は医療機関へ相談してください。
HTLV-1は異常が認められた場合に通知される
HTLV-1は、主に母子感染や性的接触、血液を介して感染するウイルスです。献血ではHTLV-1抗体検査が実施され、通知を希望した方に異常が認められた場合は、原則として親展郵便で通知されます。
検査で異常が示されても、直ちに関連疾患を発症していることを意味するわけではありません。通知内容を確認し、案内に従って医療機関や専門の相談窓口へ相談しましょう。
HIVは検査されるが本人には通知されない
献血した血液にはHIV抗体検査やHIV-RNA検査が行われますが、HIVの検査結果は献血者本人へ通知されません。そのため、献血をHIV検査の代わりに利用しても、感染の有無を確認することはできません。
HIV感染が心配な場合は、保健所や医療機関などで専用の検査を受けてください。感染機会からの期間によって適切な検査時期が異なるため、事前に検査機関へ確認することも大切です。
クラミジア・淋病・性器ヘルペスは検査対象ではない
クラミジア・淋病・性器ヘルペスは、献血時に行われる感染症検査の対象ではありません。献血後に異常の通知が届かなかった場合でも、これらの性感染症に感染していないとは判断できないため注意が必要です。
排尿時の痛み、おりものの変化、性器の水ぶくれなどがある場合は、医療機関を受診しましょう。無症状で感染することもあるため、心当たりがある場合は症状がなくても検査を検討してください。
献血の感染症検査結果が通知される方法と時期
献血時に行われる感染症検査は、結果がすべて自動的に知らされるわけではありません。通知を受け取るための条件や時期、ラブラッドで確認できる検査成績との違いを解説します。
通知を希望した人に原則1カ月以内に親展郵便で届く
献血の受付時に感染症検査結果の通知を希望し、対象となる検査で異常が認められた場合は、原則として献血後1カ月以内に親展郵便で通知されます。
通知の対象は、梅毒、B型・C型・E型肝炎、HTLV-1です。HIVをはじめ、すべての感染症について結果が通知されるわけではありません。通知を受け取った場合は内容を確認し、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。
異常がなければ感染症検査結果は通知されない
対象となる感染症検査で異常が認められなかった場合、結果を知らせる郵便は届きません。しかし、通知がないことは、あらゆる性感染症に感染していない証明にはなりません。
献血では検査されない性感染症があるほか、感染から間もない時期は検査で検出できない可能性があります。感染リスクのある行為に心当たりがある場合は、通知の有無にかかわらず、適切な時期に性感染症検査を受けてください。
ラブラッドの検査成績では性感染症の有無を確認できない
献血Web会員サービスのラブラッドでは、献血後に生化学検査や血球計数検査の成績を確認できます。肝機能に関わる数値やコレステロール値、赤血球数などが表示されますが、性感染症の検査結果を確認するためのサービスではありません。
検査成績に問題がないように見えても、性感染症への感染を否定することはできません。感染の有無を知りたい場合は、医療機関や保健所などで専用の検査を受けましょう。
性感染症に感染した可能性がある人が献血を控える条件
性感染症に感染した可能性がある場合は、問診で正確に申告し、献血を控える必要があります。ここでは、性的接触や感染歴、治療状況など、献血の可否に関わる主な条件を解説します。
6カ月以内に新たな相手や不特定の相手と性的接触があった
日本赤十字社では、過去6カ月以内に不特定の異性または新たな異性との性的接触があった方や、男性同士の性的接触があった方などに、原則として献血を控えるよう求めています。
該当する方と性的接触を持った場合も対象となることがあります。コンドームの使用だけで自己判断せず、問診へ正確に回答してください。最終的な献血の可否は、献血会場の健診医師が総合的に判断します。
HIVや肝炎ウイルスの感染が判明または疑われている
HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなどを保有している方や、感染している可能性がある方は献血できません。また、過去6カ月以内にこれらのウイルス保有者と性的接触があった場合も、献血を控える必要があります。
感染が心配な場合は、献血による検査ではなく、医療機関や保健所へ相談してください。検査時期や必要な検査項目は感染機会によって異なるため、専門家の案内に従いましょう。
性感染症の治療中や服薬中は問診で申告する
性感染症の治療中または治療薬の服用中は、その病気の種類や治療状況、薬の内容によって献血できない場合があります。症状が落ち着いていても、自己判断で申告を省いてはいけません。
過去の感染歴についても問診で正確に伝え、献血できる時期を確認しましょう。治療が終了した方であっても一律に献血できるとは限らず、最終的な可否は当日の健診医師が判断します。
問診後に感染リスクへ気づいた場合は血液センターへ連絡する
献血後に性感染症の感染リスクへ気づいた場合や、問診で伝え忘れた内容がある場合は、できるだけ早く血液センターへ連絡してください。採血した血液が輸血用血液製剤として使用される前に、申告することが重要です。
連絡先は、献血時に渡される案内などで確認できます。相談内容はプライバシーに配慮して取り扱われるため、ためらわず事実を正確に伝えましょう。
性感染症が心配な場合に選ぶ検査方法
性感染症の検査方法には、医療機関・保健所・性病検査キットがあります。それぞれ検査できる項目や費用、治療までの流れが異なるため、自分の症状や状況に適した方法を選びましょう。
症状がある場合は泌尿器科・婦人科・性感染症内科を受診する
排尿時の痛み、おりものの変化、性器のかゆみや水ぶくれなどがある場合は、医療機関を受診しましょう。男性は泌尿器科、女性は婦人科のほか、性感染症内科でも相談できます。
医療機関では、症状や感染機会に応じた検査を受けられ、陽性だった場合は治療へ進めます。性感染症以外の病気で似た症状が現れることもあるため、症状だけで自己判断しないことが大切です。
保健所ではHIVや梅毒などを匿名・無料で検査できる
自治体によっては、保健所などでHIVや梅毒の検査を匿名・無料で受けられます。氏名を伝えずに相談できる場合があり、費用や周囲に知られることが不安な方にとって利用しやすい方法です。
ただし、検査日や定員、予約の要否、対応する感染症は自治体によって異なります。また、陽性の場合は別途医療機関で診断や治療が必要になるため、事前に地域の案内を確認してください。
受診する時間がない場合は性病検査キットを利用する
医療機関や保健所へ行く時間が取れない場合は、自宅で検体を採取して郵送する性病検査キットも選択肢です。対面せずに検査できるため、受診への抵抗感やプライバシーが気になる方にも利用しやすいでしょう。
利用する際は、検査項目や採取方法、検査機関の体制を確認してください。検査結果が陽性だった場合や症状がある場合は、キットの結果だけで判断せず、医療機関を受診する必要があります。
感染機会から検査までに必要な期間を確認する
性感染症は、感染機会の直後に検査を受けても正確に判定できない場合があります。病原体ごとに検出可能となる時期が異なるため、早すぎる検査では感染していても陰性と判定される可能性があります。
検査を受ける前に、医療機関や保健所、検査キットの案内で適切な時期を確認しましょう。症状がある場合や強い不安がある場合は、検査時期を待たずに医療機関へ相談してください。
献血の感染症検査で異常通知が届いた場合の対応
献血後に感染症検査の異常通知が届いても、その内容だけで感染が確定するとは限りません。通知を放置したり、自分だけで判断したりせず、案内に従って医療機関へ相談しましょう。
通知だけで感染が確定したとは限らない
献血時の感染症検査は、輸血用血液製剤として使用できるかを判断するための検査です。異常通知が届いた場合でも、現在その感染症に感染していると確定したわけではありません。
病原体や抗体がない場合でも陽性と判定される「偽陽性」の可能性があります。一方で、実際に感染している可能性も否定できないため、通知を無視せず、記載された内容や案内を確認することが大切です。
医療機関で確認検査を受ける
異常通知が届いた場合は、通知書を持参して医療機関を受診しましょう。梅毒であれば皮膚科や泌尿器科、婦人科、性感染症内科、肝炎であれば消化器内科などが相談先となります。
医療機関では、通知内容や感染機会、症状などを踏まえて必要な確認検査を行います。感染が確認された場合は治療や経過観察へ進むため、自己判断で市販薬を使用したり、受診を先延ばしにしたりしないでください。
結果が判明するまで性行為を控えてパートナーにも相談する
感染の有無が確認できるまでは、相手への感染を防ぐために性行為を控えることが望ましいでしょう。コンドームを使用しても、病変の位置や感染症の種類によっては感染を完全に防げない場合があります。
感染が確認された場合は、医師の指示に従い、パートナーにも検査や受診を勧めてください。どの範囲の相手へ伝えるべきか迷う場合は、医療機関へ相談すると適切な対応を確認できます。
献血と性感染症に関するよくある質問
過去に性感染症へかかった方や、献血後に感染が判明した方は、どのように対応すべきか迷うことがあるでしょう。献血と性感染症に関して残りやすい疑問へ回答します。
過去に性感染症にかかった人は献血できますか?
献血できるかどうかは、性感染症の種類や治療状況によって異なります。梅毒の既往がある方やHIV検査で陽性となった方など、治療後や期間経過後も献血できないケースがあります。
クラミジアや淋病などの治療歴がある場合も、服薬状況や現在の体調を問診で正確に伝えてください。自己判断で感染歴を申告せずに献血することは避け、血液センターや当日の健診医師へ確認しましょう。
梅毒の治療後はいつから献血できますか?
日本赤十字社では、梅毒にかかったことがある方は、治療によって快癒していても献血を控えるよう案内しています。そのため、治療後に一定期間が経過すれば献血できるという基準ではありません。
梅毒は治療後も検査で使用する抗体が残ることがあります。献血の可否と梅毒が治癒したかどうかは別の問題であるため、治療後は医師の指示どおりに検査を受け、治癒判定を確認することが大切です。
コンドームを使用した性行為でも献血を控える必要がありますか?
コンドームを使用していても、過去6カ月以内に新たな異性や不特定の異性との性的接触、男性同士の性的接触などがあった場合は、原則として献血を控える必要があります。
コンドームは感染リスクを下げるために有用ですが、すべての性感染症を完全に防げるわけではありません。使用の有無だけで献血できると判断せず、問診へ正確に回答して健診医師の判断に従ってください。
献血後に性感染症が判明した場合はどうすればよいですか?
献血後に性感染症への感染が判明した場合や、感染リスクのある行為を申告していなかったことに気づいた場合は、速やかに血液センターへ連絡してください。リスクのある血液を製造工程から除外するために必要な対応です。
連絡先は、献血後に受け取る案内などで確認できます。性感染症については医療機関で治療を受け、パートナーへの検査や治療が必要かどうかも医師へ相談しましょう。
性感染症が心配な場合は献血ではなく適切な検査を受けよう
献血した血液には感染症検査が行われますが、すべての性感染症が検査対象となるわけではありません。HIVのように、検査を実施していても本人へ結果が通知されない感染症もあります。
また、感染初期には検査で病原体を検出できない可能性があります。検査目的で献血すると、輸血を必要とする患者さんの安全に影響するおそれがあるため、感染リスクに心当たりがある場合は献血を控えてください。
性感染症が心配な方は、症状や感染機会に応じて医療機関や保健所で検査を受けましょう。受診する時間がない場合や対面での検査に抵抗がある場合は、性病検査キットも選択肢です。適切な時期に必要な項目を検査し、陽性の場合は医療機関で治療を受けてください。

性病リスクをご自身に少しでも感じている方は
ぜひ一度、ご来院ください。

