マイコプラズマ・ウレアプラズマを知っていますか？

性感染症のマイコプラズマ・ウレアプラズマはあまり知られていませんが、クラミジア感染症や淋病に次いで感染率が高いとされています。

感染すると、かゆみや排尿時の痛み、膿やしこりなどの症状が現れる場合があります。
本記事では、マイコプラズマ・ウレアプラズマの原因や症状、検査方法や治療方法について解説します。

少しでも体に異変を感じる方は、迷わず医療機関を受診し、検査を受けましょう。

マイコプラズマ・ウレアプラズマとは？

マイコプラズマ・ウレアプラズマとは、セックス・オーラルセックス・アナルセックス・キスといった性行為によって感染する性感染症です。

マイコプラズマ・ウレアプラズマは2012年から日本でも検査ができるようになりました。
検査時にはそれぞれ2種類のマイコプラズマ・ウレアプラズマの原因菌を調べます。

マイコプラズマ・ウレアプラズマは症状が出ないこともあり、発見するのが難しい疾患です。
また、症状がクラミジア感染症に似ていることから、クラミジア感染症の検査を受けて陰性だったために放置してしまうケースもあります。
自然治癒することはないため、必ず治療しなければなりません。

マイコプラズマとウレアプラズマの違い

マイコプラズマとウレアプラズマの違いは原因菌にあります。

マイコプラズマは「マイコプラズマ・ジェニタリウム」と「マイコプラズマ・ホミニス」と呼ばれる菌が感染して発症します。

ウレアプラズマは「ウレアプラズマ・パルバム」と「ウレアプラズマ・ウレアリチカム」と呼ばれる菌が感染して発症します。

症状・潜伏期間・検査方法・治療方法

マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状、潜伏期間、検査方法、治療方法について解説します。
それぞれの内容について把握し、予防・治療に努めましょう。
　

　症状

男性の場合、原因菌が尿道から侵入して副睾丸・精管・精嚢・前立腺へ感染が拡大し、炎症が起こります。
主に性器の痒みや排尿時の痛み、性器の異臭、膿などが生じます。
放置すると生殖機能に悪影響が及び、精子の運動率低下や精子量の減少が生じ、男性不妊になるケースがあります。

一方で女性の場合、原因菌が膣から侵入し、子宮頚管・子宮・卵管へと感染拡大します。
主な症状は、おりものの増加や異常、下腹部痛などです。
放置すると炎症が慢性化したり、骨盤腹膜炎が進行したりしてしまいます。
場合によっては、早産や流産のリスクが高まり、不妊症になる恐れもあるでしょう。
　

　潜伏期間

潜伏期間は1～5週間とされています。
症状が治まった後でも、感染していた場合には治療しなければ治りません。
感染から24時間が経つと検査を行うことができます。
　

　検査方法

男女共通の検査方法は、喉の検査と肛門の検査です。
喉の検査では、生理食塩液（食塩水またはミネラルウォーター）で15秒間うがいをします。

肛門の検査は、肛門に綿棒を数センチ入れ、肛門からの分泌物を採取します。
体に負担がかかりにくいのが特徴です。

また、男性の場合は尿を採取し、女性の場合は膣からの分泌液を採取して検査を行います。

　治療方法

マイコプラズマが陽性の場合、ニューキノロン系の抗生物質を1週間服用する必要があります。
ウレアプラズマが陽性の場合、ニューキノロン系・テトラサイクリン系・マクロライド系の抗生物質を使用しなければなりません。
　

　予防方法について

最も有効な予防方法は、コンドームの使用です。
コンドームを使用すると、粘膜同士の接触を防ぐことができ、感染リスクを低下できます。

また、不特定多数の人とセックスをしなことも大切です。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの感染の原因となるオーラルセックスやアナルセックスを控えることも必要と言えるでしょう。

風邪やインフルエンザと同様に、うがいや手洗いを徹底し、ウイルスを寄せつけない対策を行うことも大切です。
知らないうちにマイコプラズマ・ウレアプラズマに感染し、放置してしまった結果、重篤な健康被害を及ぼす可能性もあります。

取り返しのつかない事態を招く前に、しっかりとマイコプラズマ・ウレアプラズマを予防しておきましょう。
　

感染したかも？と思ったら

いつもと調子が異なり「感染したかも？」と不安になったら、性病検査を受けましょう。
マイコプラズマ・ウレアプラズマは放置すると様々な健康被害や不妊の原因となってしまうことがあります。

また、特に異変がなかったとしても、定期的に性病検査をすると効果的な予防策となります。
なぜなら、マイコプラズマ・ウレアプラズマは1～5週間の潜伏期間があるため、症状に気付かず放置する可能性があるからです。

マイコプラズマ・ウレアプラズマに感染した状態でセックスなどを行うと、知らないうちにパートナーを感染させてしまう恐れがあります。

自分や大事なパートナーを守るためにも、少しでも異変を感じたら性病検査を受けましょう。

赤松　敬之（あかまつ たかゆき）

医療法人 星敬会　理事長